楽天モバイルの通話定額/かけ放題オプションは魅力だが、通信速度の偽装があるためY!mobileやガラケーのりかえ割契約のほうが幸せになれる
どうやら最近は楽天モバイルが格安SIMの契約の中でも人気が高く、契約者数を非常に伸ばしているそうです。
一部代理店の数字ながらMMD Laboの調査ではIIJmioやOCNモバイルONEのようなシェアトップのMVNOよりも、2016年1月からの契約者数の伸びでは楽天モバイルがトップになっているという結果が出ています。
格安SIMは通信事業者としてはおなじみのところが展開はしているものの、一般のユーザーにとってはどこも聞いたことのない企業になるということで、楽天ブランドはそれだけで訴求力が高いのでしょう。
特に楽天モバイルは他社にはないメリットとして「通話定額/カケホーダイ」という音声通話の5分間定額オプションを用意していますから、格安SIMへMNPして音声+データをひとつの回線にまとめたいという人にとっては、通信料が安くなるだけでなく通話料もある程度心配無用な契約が出来るのは大きいでしょう。他社だと通話料が安くなる方法がなかったり、あったとしてもナンバーが表示されないなど制限があります。
通話料がかけ放題になるオプションの存在やブランド力を考えると確かに楽天モバイルが人気になるのはわかる気がしますが、前回のスピードテスト詐欺の発覚記事を読んでもらえればわかるように、楽天モバイルはプランの内容や料金は良いものの実際の利用にはかなり問題のある格安SIMです。ただ遅いだけならいいですが、それをスピードテスト詐欺をしてごまかすというコンプライアンス的にも問題がある事業者と現時点では言えるため、楽天モバイルがいくら良いプランを用意しようと、契約すべきではありません。
同じかけ放題プランを持ちながら安いSIMというのもあるので、そちらを選んだほうがまだマシな契約が出来ると思うので、今回の記事ではその辺りを掘り下げてみたいと思います。
楽天モバイルに信頼はあるか?スピードテスト詐欺の疑念
前回の記事を見ていただけるとわかりますが、格安SIMの一部には最近の速度を重視して選ぶユーザー需要に合わせて、「実効速度は遅いのにスピードテストだけは速く見せる」という詐欺的行為を実行しています。
この「一部」に楽天モバイルは含まれており、スピードテストの結果は実際に画像や動画をダウンロードしたときにまるで近くない速度をになっています。スマホ辞典さんや格安スマホ回線研究所さんがこのあたりツールを使って実際の速度を出し、スピードテストブーストをしている格安SIMを暴いています。
この楽天モバイルのスピードテストの操作は、これだけで信用のならない格安SIMという印象を与えます。元々日本通信と丸紅が絡んでできたフュージョンコミュニケーションが回線の管理に絡んでいるということもあり、ユーザーのためになる改善をするよりもユーザーを如何に攻略してやるか、という姿勢が見えています。
スピードテストブーストの記事でも、ユーザーのことを考えていない格安SIMには未来はないとしていますが、今のこの楽天モバイルの姿勢では契約の価値はどんなに良いプランやオプションを用意していたとしても、速度面や将来性といった点で長期的に良い状態を保てないでしょう。いつかこうした積み重ねが仇となり、評価を大きく落とすことになるでしょう。(今でも十分に評価は低いわけですが。)
楽天モバイルは格安SIMとして選ぶ価値はありません。
しかしまともな通話定額は楽天モバイルのみ
かといって、節約目的で格安SIMを選ぼうとしたときに、通話も安いSIMというと楽天モバイルが真っ先に候補に上がってくるかと思います。他社の通話定額では番号通知や通話回線網がデータ回線依存などの問題がありますが、楽天モバイルのかけ放題プランは090、080回線を使ったまともなかけ放題となっていますから、信頼のない事業者だといっても普通の通話方法で定額オプションを契約できる楽天モバイルは魅力的です。
このかけ放題オプションのためにデータ通信側の速度の不正などに目を瞑るかどうかというのは、契約するその人が持つ考え方によりますが、個人的にモバイル回線へのこだわりを持つ人間からの意見としては、こういう不正をしてユーザーを攻略しようとする楽天モバイルとの契約は例え料金が安くなるとしてもオススメはしたくありません。
では楽天モバイルのもつメリットとしての通話定額を補おうとしたらどうすればいいのでしょうか。
その代替案として2つの回線をここでは提案したいと思います。それはY!mobileとガラケーのりかえ割です。
1台持ちで通話定額可能なY!mobile
まず一つ目の楽天モバイルの代替案はY!mobileを使うことです。
Y!mobileの契約はキャリア契約に区分されるものの形式としてはSoftBankのMVNOという形にもなりますし、料金も3大キャリアよりも安いということで「格安SIM」の一つとして捉えて良い位置付けです。
Y!mobileのメリットは「通話定額」のプランが選べるという点はもちろん、「速度」の部分でもMVNOよりも高い安定感をもった回線であるため、多少高くなっても選ぶ価値はあります。
通話定額は楽天モバイルの5分間無制限から10分間300回/月になります。回数制限はでますが毎月リセットされるので問題のない回数でしょう。むしろ10分という時間的余裕のほうが大きいです。もちろん090、080番号を使って番号通知など通常の電話と同じ形で使えます。
データ通信の速度はMVNOのように時間帯によっての不安定なところがなく、お昼や夜間でも通信速度が高速なまま利用できる快適な回線です。スピードテストブーストもなくなっているため、毎月の料金の割には快適さが格安SIMとは段違いになっています。
この2つのメリットはたとえY!mobileが楽天モバイルよりも多少なりとも料金が高くても選ぶ価値は十分にあります。
デメリットは楽天モバイルが1年縛りなのに対して2年縛りが課せられること。3年目以降はデータ通信量の2倍キャンペーンが終了してしまうという点です。2年目までは新規とMNP契約で2/6/14GBのデータ通信量を契約プランによって使うことができるのですが、3年目だとこのキャンペーンが終了してしまうため、別の回線へのMNPなど工夫が必要になってしまいます。
こうしたデメリットはあるものの、楽天モバイルのかけ放題オプションの料金と2450円と比べれば、約500円の追加で通話時間が増やせてデータ通信速度も快適な環境が手に入りますから、Y!mobileを選ぶというのは間違っていない判断になるでしょう。
Y!mobileではSIMのみへのMNP契約はもちろん、DIGNO C 404KCやLUMIERE 503HWのような格安スマホの実質0円セットがあるので、そちらを契約するのも悪くはありません。スマホセットで料金が変わらない、スマホプランM以降なら安くなる機種もあるため、こちらのセットで契約するのもオススメです。
楽天モバイルよりもしっかりとした運営を期待できる事業者なので、こちらを通話定額の格安SIM級契約としてオススメします。
2台持ちならガラケーのりかえ割をメイン回線に
2台持ちが許容できるようならば通話定額向けの回線としてガラケーのりかえ割をオススメします。
この回線はSoftbankのガラケーを使ったMNPからの契約専用のプランです。恐らく楽天モバイルの通話プランにしようとしてた人はMNPを予定していたことでしょうから、この条件に当てはまることでしょう。
このガラケーのりかえ割は、時間無制限/回数無制限の通話定額プランをガラケーで契約できるものになっています。しかも料金は1479円です。
楽天モバイルの通話プランが700円、定額オプションが850円でこれだけで1550円かかっていることを考えると、こちらのSoftbankのガラケーのりかえ割は単純にコストパフォーマンスが上です。
しかもMNP一括で契約することによって、ガラケーの月月割が基本料から直接引かれるようになっているので、料金が更に安くなる可能性があります。一例としては819円という使い方も可能になってきます。
仮にこの819円プランを契約できた場合には、2台持ちという持ち歩きが増えるというデメリットが些細なものに感じるぐらいの高コストパフォーマンスです。
819円で通話がし放題、ネットはもう一台スマホを持って格安SIMで運用、しかもこの場合データ回線の契約になるので、そのMVNOに不満を感じたらすぐに別の新しいSIMへと解約金なしで乗り換えることが出来るようになっています。
この安いかけ放題ガラケーといつでも別の格安SIMに交換可能なスマホの2台持ちというのは、安さと使いやすさを両立させたベストに近い組み合わせになるでしょう。
この運用方法もオススメです。
なお819円運用を可能にするためのMNP一括購入ですが、なるべく安いショップでの一括購入(できれば0円)を目指したいところです。これについてはカメラのキタムラかおとくケータイ.netが有力候補になるでしょう。
特に有力なのはおとくケータイ.netになると思います。ここならネットでの申し込みなので全国から契約を申し込めます。MNPでは一括5000円ほどになると思いますが、それでも普通のショップに安売りを求めて歩き回って探す労力を考えたら十分な金額になるでしょう。
簡単な方法ではこちらがベストの選択になるでしょう。
楽天モバイルをあえて選ぶ必要はない
このように楽天モバイルの代替契約は2通りあります。
2年縛りのデメリットはあるものの1台持ちが可能かつ通信速度も落ち込まないY!mobile、2台持ちのデメリットにはなるものの無制限のかけ放題ガラケーが1500円以下で使えるガラケーのりかえ割という代替手段があります。
この2つの料金面での安さ、それにかけ放題プランを契約できるという点から、あえて楽天モバイルを選ばなくても節約しながら通話定額を利用することが出来ます。むしろスピードテストブーストを行い通信速度に偽装が見られる「ユーザーのことを考えない」楽天モバイルを契約するよりもよほど良い契約をこの2つのやり方ならすることが出来ます。
楽天モバイルは人気の高い格安SIMであり、便利なプランを用意した格安SIMでもあるのですが、スピードテストブーストが判明してからは選ぶ価値というのはかなり減ってきているというのが個人的な見解です。そうした不義理を行う格安SIM回線を契約するよりも、同程度の安さを実現できるキャリア回線を使ったより快適な環境を作った方が良いです。
格安SIMはちょっとしたブームになっていますので、その格安SIMの中から選ばなければいけないと思っている人もいるでしょうが、格安SIM以外にも安くて使いやすい回線というものはありますので、そちらを選んだほうが本当に賢いスマートフォン回線の運用が出来るようになるでしょう。